鯉 -金継- 円環

KIMONOTSUGIについて

KIMONOTSUGIは、一度役目を終えた着物や西陣織の帯が纏ってきた時間、記憶、温もりを丁寧に受け止め、“次”へと継いでいく作品です。

Tamatebakoの製作過程で生まれる、ほんのわずかな布の欠片。
それらは決して「余り」ではなく、長い時間を生き、人の手を渡り、記憶を抱えてきた存在です。

KIMONOTSUGIでは、そうした布が持つ背景や気配に静かに向き合いながら、
断ち切るのではなく、繋ぎ直すという行為を通して作品を生み出しています。
金継ぎの表現は、傷や欠損を隠すのではなく、
そこにこそ美しさが宿るという思想の象徴でもあります。

失われたものを嘆くのではなく、
生きてきた痕跡を抱えたまま、次の物語へ。
それが、KIMONOTSUGIの根底にある創作の姿勢です。

鯉 -金継- 円環 について

今回の《鯉 -金継-》シリーズに描かれている鯉は、
一般的なイメージよりも、あえて体を小さく表現しています。

この作品は、KIMONOTSUGIとしての最初期の作品群のひとつ。
まだ始まったばかりの存在である自分自身と、
これから大きく成長していく鯉の姿を重ね合わせました。

鯉は、困難を越えて成長する象徴として
古くから日本で大切にされてきた存在です。
未完成であること、揺らぎがあること、
それでも前へ進もうとする姿そのものを肯定したい。
そんな想いを、この小さな鯉に込めています。

そして本作《鯉 -金継- 円環》は、
円形の池を真上から静かに覗き込む視点で構成した作品です。

キャンバスとして選んだ円のかたちは、
池であり、循環であり、時間の層そのもの。
その中を泳ぐ鯉たちは、始まりも終わりも持たず、
ただ静かに巡り続けています。

《鯉 -金継-》3作品が、
まだ小さく、これから成長していく存在として
“始まりの自分”を重ねた作品であるとすれば、
この《円環》は、視点を一歩引き、全体を見渡そうとする眼差しを映した一枚です。

個としての鯉、そして循環の中にある鯉。
どちらもKIMONOTSUGIの現在地であり、
進み続ける過程の異なる断面を表しています。

終わることなく、途切れることなく、
静かに、しかし確かに“次”へと継がれていく。
本作は、その循環そのものを象った作品です。

¥510,000
在庫あり

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説明

作品名|鯉 -金継- 円環
素材|着物(正絹)、西陣織帯(正絹)、樹脂
サイズ|直径410mm
仕様|額縁なし (額装ご希望の場合はご相談ください)
制作年|2025
点数|一点もの

配送について

本作品は、展覧会終了後に一点ずつ丁寧に梱包し、発送いたします。
年末年始期間を避け、1/5以降の発送となりますこと、あらかじめご了承ください。