山月 -金継-

KIMONOTSUGIについて

KIMONOTSUGIは、一度役目を終えた着物や西陣織の帯が纏ってきた
時間、記憶、温もりを丁寧に受け止め、“次”へと継いでいく作品です。

Tamatebakoの製作過程で生まれる、ほんのわずかな布の欠片。
それらは決して「余り」ではなく、
長い時間を生き、人の手を渡り、記憶を抱えてきた存在です。

KIMONOTSUGIでは、そうした布が持つ背景や気配に静かに向き合いながら、
断ち切るのではなく、繋ぎ直すという行為を通して作品を生み出しています。
金継ぎの表現は、傷や欠損を隠すのではなく、
そこにこそ美しさが宿るという思想の象徴でもあります。

失われたものを嘆くのではなく、
生きてきた痕跡を抱えたまま、次の物語へ。
それが、KIMONOTSUGIの根底にある創作の姿勢です。

山月 -金継- について

《山月 -金継-》は、連なる山の稜線と、静かに浮かぶ月をモチーフにした作品です。

山は動かず、月は巡る。
変わらないものと、移ろい続けるもの。
その対比の中に、時間という存在を重ねています。

着物や帯の断片を幾層にも重ね、
山の起伏のような流れをつくり出すことで、
この作品は「景色」であると同時に、時間の層そのものを表しています。

金継ぎの線は、輪郭を強調するための装飾ではなく、
布と布、過去と現在を静かに結び直すための痕跡。
断片だったものが繋がり、
再びひとつの景として立ち上がっていきます。

月は、常にそこにあるようでいて、
見る人の立ち位置や時間によって、まったく異なる表情を見せます。
この作品における月もまた、
固定された象徴ではなく、見る人それぞれの時間や記憶を映す存在として配置しています。

近くで見れば、布の重なりや質感、
織りや文様が生み出す細かなリズムが立ち上がり、
離れて眺めれば、静謐なひとつの景が浮かび上がる。

《山月 -金継-》は、
変わらないものと、変わり続けるもののあいだに立ち、
それぞれの時間をそっと重ね合わせるための作品です。

¥320,000
在庫あり

在庫あり

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説明

作品名|山月 -金継- 
素材|着物(正絹)、西陣織帯(正絹)、樹脂
サイズ|333mm × 242mm (作品サイズ)
仕様|額装済
制作年|2025
点数|一点もの

配送について

本作品は、展覧会終了後に一点ずつ丁寧に梱包し、発送いたします。
年末年始期間を避け、1/5以降の発送となりますこと、あらかじめご了承ください。